ネットワークアセスメントとは?可視化と最適化の重要ポイントを解説

ネットワークアセスメントとは?可視化と最適化の重要ポイントを解説

最終更新日:2025/03/09

ネットワークアセスメントとは、組織や企業のネットワークインフラストラクチャを分析・評価するプロセスです。

この評価を通じて、ネットワークの現状を把握し、パフォーマンス、セキュリティ、効率性、そして信頼性に関する問題点や改善点を特定します。

ネットワークアセスメントの目的は、ネットワーク環境を最適化し、業務の生産性やセキュリティを向上させることです。

今回はネットワークアセスメントについて解説します。

ネットワークアセスメントの内容

まずはじめに、ネットワークアセスメントの内容についてざっくりと説明します。

1.ネットワーク構成の確認

・物理的および論理的なネットワークトポロジーのレビューをします。

・使用しているネットワーク機器(ルーター、スイッチ、アクセスポイントなど)の状態を確認します。

2.パフォーマンス評価

・帯域幅の使用状況を評価します。

・遅延(レイテンシ)、パケットロス、スループットなどの測定し、評価します。

3.セキュリティ診断

・ネットワークの脆弱性やリスクの特定します。

・ファイアウォール、VPN、認証機能などの設定チェックします。

4.可用性と信頼性

・冗長性の確認します。

・障害時の復旧プロセスやバックアップ体制の確認します。

5.デバイスとアプリケーション

・ネットワーク上に接続されているデバイスの一覧を確認します。

・使用しているアプリケーションのトラフィック量や影響の分析します。


ネットワークアセスメントのメリット

1.問題の早期発見

隠れたネットワーク問題を事前に発見し、大きなトラブルを防止することができます。

2.コスト削減

不要な機器やリソースの特定により、無駄を排除することができます。

3.セキュリティ向上

不正アクセスやサイバー攻撃のリスクを低減することができます。

4.パフォーマンス最適化

ネットワークのボトルネックを解消し、スムーズな業務運用を実現できます。


ネットワークアセスメントのタイミング

ネットワークの拡張や変更を予定している場合。

トラブルが頻発している場合。

セキュリティリスクへの対策を強化したい場合。

既存のネットワークインフラの状態を把握し、戦略的なIT計画を立てたい場合。


ネットワークアセスメントに必要なスキル

1.ネットワーク基礎知識

OSI参照モデル、TCP/IPプロトコル、LAN/WANなど、ネットワークの基本概念を理解しており、かつ、IPアドレスの割り当てやサブネットの計算などの知識が必要となります。

2.ネットワーク設計・構築スキル

ネットワークトポロジーの設計や構築に関する経験やルーター、スイッチ、ファイアウォールなどのネットワーク機器の設定と管理などのスキルが必要となります。

3.トラブルシューティングスキル

ネットワークの問題を特定し、迅速に解決する能力やパケットキャプチャツール(例:Wireshark)やログ解析の活用できるスキルが必要となります。

4.セキュリティスキル

ネットワーク脆弱性の診断や、セキュリティ対策(例:ファイアウォール、IDS/IPS)の設計・運用経験や、サイバー攻撃やリスクの評価方法を理解している必要があります。

5.監視・分析ツールの使用スキル

ネットワーク監視ツール(例:Nagios、Zabbix、SolarWinds)の操作やパフォーマンスデータやトラフィックログの解析に関するスキルが必要となります。

6.プロジェクト管理スキル

アセスメント計画の立案と実施や複数のステークホルダーと連携するためのコミュニケーション能力が必要となります。

7.実務経験

これまで説明したスキルだけでなく、実際の業務経験も非常に重要となります。具体的には次の経験が特に役立ちます。

・ネットワーク構築や運用の経験

・セキュリティインシデントの対応経験

・大規模ネットワークの監視やパフォーマンス最適化プロジェクトへの参加


以上となります。

ネットワークアセスメントには、幅広い技術スキル、セキュリティの知識、ツールの操作経験が必要です。

資格はスキルの裏付けとなり、信頼性を高めるために有効です。

ただし、実際のネットワーク環境での実務経験が最も重要ですので、実践を通じてスキルを磨き、資格取得を目指すのが効果的です。


ネットワークアセスメントに必要な資機材

1.ノートパソコン

設定変更やデータ収集、分析ツールの操作に必須となります。ネットワーク機器に接続するためのLANポートまたはUSB-LANアダプタを備えたものが望ましいです。

2.ネットワークケーブル

各機器を直接接続するためのCat5e、Cat6などのイーサネットケーブルが必要です。必要に応じてクロスケーブルも用意しましょう。

3.ポータブルネットワークスイッチ

一時的に複数の機器を接続する場合に便利です。小規模なネットワーク環境でのアセスメントに特に有用となります。

4.ポータブルWi-Fiスキャナ

無線ネットワーク環境を評価するために使用します。Wi-Fiの電波状況や干渉を調査することができます。

5.シリアルコンソールケーブル

ルーターやスイッチの初期設定やトラブルシューティングのために使用します。USB接続対応のアダプタがあると便利です。

6.電源供給装置 (UPSやモバイルバッテリー)

電力供給が不安定な場所で作業する際の備えとして用意しましょう。

7.ポータブルストレージ

診断結果やログデータを保存するためのUSBメモリや外付けSSDなどの外部ストレージを必要に応じて用意しましょう。

8.テスト用デバイス

ネットワーク接続を確認するためのスマートフォンやタブレットなどのデバイスを必要に応じて用意しましょう。実際のユーザー環境を模擬するために使用します。


ネットワークアセスメントで活用できるツール

ネットワークアセスメントを行う際には、ネットワークの状況を分析・評価や結果を可視化するためのツールを活用することでより、精度の高いアセスメントを行うことができます。

ネットワークアセスメントに役立つツールの中には、無料で利用できるものが多数あります。

一部はオープンソースで提供されており、特に小規模なアセスメントや初期評価には十分な機能を持っています。

ここでは、無料で活用できるツールを紹介します。

1.ネットワーク監視ツール

Nagios Core

オープンソースの監視ツールで、ネットワークデバイスやサーバーの監視が可能です。

カスタマイズ性が高く、プラグインを追加することで機能拡張ができる。

ダウンロードサイト: https://www.nagios.org/

Zabbix

フル機能のオープンソース監視ツールで、パフォーマンスや可用性の監視、障害通知が可能です。

ダウンロードサイト: https://www.zabbix.com/

PRTG Free Edition

無料版では最大100センサーまで利用可能で、ネットワークパフォーマンスやトラフィックの監視に最適です。

ダウンロードサイト: https://www.paessler.com/prtg

2.パケットキャプチャツール

Wireshark

世界で最も有名なネットワークプロトコルアナライザで、ネットワークトラフィックを詳細に解析が可能です。

ダウンロードサイト: https://www.wireshark.org/

tcpdump

コマンドラインベースの軽量ツールで、ネットワークトラフィックのキャプチャやフィルタリングに適しています。

多くのLinuxディストリビューションに標準で含まれているので手軽に利用を開始することができます。

3.ネットワーク診断ツール

PingPlotter Free

ネットワーク遅延やパケットロスを可視化するツールで、無料版は基本的なトラブルシューティングに十分対応可能です。

ダウンロードサイト: https://www.pingplotter.com/

Nmap

強力なネットワークスキャニングツールでネットワーク全体のマッピングやセキュリティ診断に活用可能です。

ダウンロードサイト: https://nmap.org/

4.無線ネットワークツール

inSSIDer (無料版)

Wi-Fiのチャンネル干渉を診断でき、無料版は基本的なSSID情報の確認が可能です。

ダウンロードサイト: https://www.metageek.com/products/inssider/

Acrylic Wi-Fi Home

無線LANの信号強度を測定し、干渉を特定できます。

ダウンロードサイト: https://www.acrylicwifi.com/

5.構成管理ツール

RANCID

オープンソースで提供されているツールで、ネットワーク機器の設定を自動収集・保存し、変更を監視することができます。

ダウンロードサイト: https://shrubbery.net/rancid/

Ansible (無料版)

ネットワーク機器の設定や自動化に便利なツールで、無料版でも強力な構成管理が可能です。

ダウンロードサイト: https://www.ansible.com/

6.セキュリティ診断ツール

OpenVAS

オープンソースの脆弱性スキャナで、ネットワークのセキュリティアセスメントに活用できます。

ダウンロードサイト: https://www.openvas.org/

Snort

オープンソースの侵入検知・防止システム (IDS/IPS)で、トラフィック解析とパケットログに利用可能です。

ダウンロードサイト: https://www.snort.org/

7.ログ管理ツール

Graylog (無料版)

ログデータの収集と分析に適したオープンソースツールです。

ダウンロードサイト: https://www.graylog.org/

Logstash (Elasticsearch Stackの一部)

ネットワークログを収集し、検索可能な形式に変換できます。

ダウンロードサイト: https://www.elastic.co/logstash


※無料ツールの選定ポイント

無料ツールを選ぶ際には、次の点を考慮しましょう。

1.目的に合致する機能を持っているか

トラフィック分析、セキュリティ診断、無線環境の調査などの目的に合致する機能を有しているか確認しましょう。

2.学習コスト

ツールの操作性や設定の複雑さを考慮したうえで選定しましょう。

3.規模や環境に対応しているか

小規模ネットワークではシンプルなツール、大規模では拡張性の高いツールが必要となりますので注意しましょう。


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