DX成功へのステップ|デジタイゼーションとデジタライゼーションの意味と違い

DX成功へのステップ|デジタイゼーションとデジタライゼーションの意味と違い


最終更新日:2025/03/22


近年、DX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉が注目されていますが、その前段階として「デジタイゼーション」と「デジタライゼーション」という概念が存在します。


デジタイゼーション(Digitization)は、アナログ情報をデジタルデータに変換するプロセスで、紙の書類を電子データ化するなどが該当します。


一方、デジタライゼーション(Digitalization)は、デジタル技術を活用し、業務プロセスを効率化・最適化する取り組みです。

これらのステップを経て、最終的にDXへと発展し、企業のビジネスモデルや競争力を革新することが可能になります。


本記事では、それぞれの違いや具体例を解説し、DXの実現に向けたステップを詳しく紹介します。



|デジタイゼーションとは


デジタイゼーションとは

デジタイゼーションとは、「情報をアナログ形式からデジタル形式に変換すること」です。

デジタイゼーション(digitization)の起源は、20世紀半ばに遡ります。

これは情報をアナログ形式からデジタル形式に変換するプロセスで、デジタル技術の進化と共に発展しました。


・コンピュータの誕生と普及(1940~1960年代)

第二次世界大戦中および戦後、初期の電子計算機(ENIACやUNIVACなど)が開発され、情報をデジタルで処理する技術が始まりました。

この時期のコンピュータは主に政府や軍事機関で使用されていました。


・デジタル通信とデータ変換技術の発展(1960~1970年代)

コンピュータの進化と共に、デジタル信号を用いた通信技術も発展しました。

これにより、テキストや画像、音声といったデータをアナログからデジタルへと変換し、効率的に伝送・保存する技術が進みました。

たとえば、音声信号をデジタル化する技術が確立され、後にCDやデジタル音声フォーマットの基礎となります。


・パーソナルコンピュータの登場と普及(1980年代)

1980年代にパーソナルコンピュータ(PC)が登場し、企業や家庭にもデジタル技術が浸透しました。

情報をデジタル化し、PCで管理することで、業務の効率化やデータ保存の安定性が向上しました。


・インターネットの普及とデジタルメディア(1990~2000年代)

1990年代から2000年代にかけてインターネットが広がり、デジタルメディア(電子メール、ウェブサイト、デジタル写真など)が急速に普及しました。

この時期には、情報のデジタル化が企業の業務効率化だけでなく、消費者の日常生活にも浸透し、デジタルコンテンツの生成や消費が一般化しました。


・デジタイゼーションからデジタライゼーション、そしてDXへ(2000年代後半~)

デジタイゼーション(情報のデジタル化)は、デジタライゼーション(デジタル技術の導入による業務改善)へと進化し、さらにデジタルトランスフォーメーション(DX)へと発展しています。

これは、単なる情報のデジタル化にとどまらず、デジタル技術を使ってビジネスモデルや組織全体の変革を目指す動きです。


このように、デジタイゼーションは歴史的な流れの中で進化し、現在のDXの基盤を築く役割を果たしてきました。



|デジタライゼーションとは


デジタライゼーションとは

デジタライゼーションとは、「デジタル技術を活用して業務プロセスを効率化・最適化すること」です。

デジタライゼーション(digitalization)の起源は、デジタイゼーションの次の段階としての進展に位置付けられ、1980年代から1990年代にかけて発展してきました。

デジタイゼーションで情報をデジタル化した後、デジタライゼーションではこのデジタル情報を活用し、業務の効率化や自動化を図る取り組みが始まりました。


・パーソナルコンピュータの普及(1980年代)

デジタイゼーションが進み、情報がデジタルで保存できるようになると、パーソナルコンピュータ(PC)の普及がきっかけとなり、業務の効率化やデータ管理の改善が進みました。

この時期には、主に文書管理やデータ処理のデジタル化が行われ、企業や組織内でのデジタルツールの導入が進みました。


・ネットワークとシステムの連携(1990年代)

インターネットと社内ネットワークの発展により、企業内の各部門で異なるシステムがデータを共有できるようになりました。

ERP(エンタープライズリソースプランニング)やCRM(顧客関係管理)システムといった統合システムが導入され、組織全体でデジタル技術を活用した業務の最適化が進みました。


・業務プロセスのデジタル化と自動化(2000年代)

ITインフラが整備される中で、業務プロセス自体がデジタル化され、ペーパーレス化やワークフローの自動化が加速しました。

これにより、作業効率や生産性が向上し、デジタライゼーションが本格化しました。


・クラウドとモバイル技術の登場(2000年代後半)

クラウド技術やモバイルデバイスの進化により、データやシステムがどこでもアクセス可能となり、業務プロセスはより柔軟で迅速に行えるようになりました。

これにより、業務のデジタル化は一層広がり、企業全体のプロセスやフローの見直しが進みました。


・DXへの進展(2010年代~)

デジタライゼーションが進む中で、単なる業務効率化を超えて、ビジネスモデル全体の変革を図るデジタルトランスフォーメーション(DX)という概念が注目されるようになりました。

これは、デジタル技術を活用して新しい価値やビジネス機会を創出する段階です。


このように、デジタライゼーションはデジタイゼーションの基盤の上に築かれ、業務やビジネスモデルの変革を促進していきました。



|DXの関係


DXの関係

デジタイゼーション、デジタライゼーション、そしてデジタルトランスフォーメーション(DX)は、デジタル技術を活用して企業や組織の成長や変革を促進するための段階的なプロセスと捉えられます。


・デジタイゼーション(Digitization)

これは第一段階で、アナログの情報をデジタルデータに変換することを指します。

例えば、紙の文書をスキャンして電子ファイルに変換するなど、情報をデジタル化することで、データの保存や検索が容易になります。

このプロセスが、DXの基礎としてのデジタルデータの利用を可能にします。


・デジタライゼーション(Digitalization)

第二段階として、デジタル化したデータを活用して業務プロセスの効率化や自動化を図ります。

デジタライゼーションは単なるデジタル変換に留まらず、ワークフローやコミュニケーション、データ管理を最適化し、組織のパフォーマンスを向上させます。

DXに向けた準備段階として、デジタル技術の実践的な応用が始まります。


・デジタルトランスフォーメーション(DX)

DXは最終段階であり、デジタル技術によってビジネスモデルや組織全体を革新することを目指します。

単なる効率化を超えて、顧客体験の向上、新しいビジネス機会の創出、柔軟な組織体制の確立といった、より大きな戦略的な価値を提供することが目的です。

デジタイゼーションとデジタライゼーションによって整備されたデジタル基盤を活用し、競争力を強化する取り組みがDXです。



|まとめ


まとめ

デジタイゼーション、デジタライゼーション、そしてデジタルトランスフォーメーション(DX)は、デジタル技術を活用する段階的なプロセスです。

まず、デジタイゼーションでアナログ情報をデジタルデータに変換し、データの保存や検索を容易にします。


次に、デジタライゼーションでデジタル化したデータを用いて業務プロセスを効率化・自動化し、組織のパフォーマンスを向上させます。

そしてDXは、デジタル技術でビジネスモデルや組織全体を革新し、顧客体験の向上や新しいビジネス機会の創出を目指します。


このように、デジタイゼーションとデジタライゼーションがDXの基盤を整え、最終的にDXが組織の変革を進めるプロセスです。


デジタイゼーション、デジタライゼーション、そしてDXへの取り組みは、未来の成功への大きな一歩です。

デジタル化は新しい挑戦を伴いますが、その先には効率的で革新的なビジネスの形が待っています。

どの段階でも一つひとつの変革が重要であり、皆さんの努力が企業の成長や競争力の向上に繋がります。


小さなステップでも確実に前進し、関係者が一丸となって新しい時代を切り拓いていくことが重要です。